木曜日, 1月 11, 2007

『オラの家族 Vol.11 ピコとピコとオンタ 1』

 『オラの家族 Vol.11 ピコとピコとオンタ 1』

 初めに断っておく。
 題名は間違っていない。
 『ピコとピコとオンタ』である。
 『ピコ』を2回繰り返しているには,訳がある。
 オイラが小学校に上がった時,2羽の文鳥を飼った。
 文鳥の名前は,どちらもピコだった。
 名付け親はオイラである。
 センスが全く無い。
 自分でも呆れている。
 なぜ,両方ともピコにしたのか,理由を全然思い出せない。

 兎に角,オイラの家に2羽の文鳥の雛がやってきた。
 ピコ1は,白文鳥で,ピコ2は桜文鳥であった。
 なぜ,毛色の違う鳥を飼ったのか。
 訳は,オイラの親父に聞いてほしい。
 兎に角,オイラの希望ではなかったはずだ。
 きっと親父なりに,白と桜が交配するとどうなるかを知りたかったのだと思う。

 ピコ1もピコ2も餌を充分に与えられ,すくすくと育っていった。
 そして,成鳥になった。
 ところが,卵を産まない。
 待てど暮らせど卵を産まない。
 痺れを切らした親父は百科事典で調べた。
 その結果は,どちらともメスだったのである。

 卵を産むわけが無いのである。
 そこで,雛を繁殖させたいという欲望から,親父はオスの成鳥の白文鳥を買ってきた。
 じゃあ,何のために最初にピコ2という桜文鳥を飼ったのだろうか。
 白と桜の交配を確かめたかったのではないのか。
 不思議である。
 訳は,親父に聞いてほしい。
 
 この白文鳥は『オンタ』と名付けられた。
 本当のことを言うと名付けられたのではない。
 いつの間にか定着していたのである。
 オイラは,『ピコ』という名前以外は思いつかなかったのである。
 だからと言ってまた『ピコ』にすると,ピコが3羽になりややこしい。
 だから,後で買ってきた文鳥の方はオスだから『オンタ』と呼んだ。
 母が,「可愛そうだからちゃんとした名前を付けてあげなさい」と言ったが,オイラはめんどくさかったので,『オンタ』と呼び続けた。
 それが,いつの間にか定着した。
 実に,いい加減である。
 
 男のあなたは思うかもしれない。
 オスが1羽にメスは2羽。
 オンタがうらやましいと。
 
 そんなにうらやましく思わなくて結構である。
 何故なら,桜文鳥であるピコ2は別の籠で飼われたからである。
 オンタは,ピコ1と一緒に暮らした。
 厳格なオイラの家庭では,一夫一婦制が敷かれていたのである。