『オラの家族 Vol.15 ピコとオンタ』
今回もピコとピコとオンタの続きである。
ピコは雌で,オンタはオスだ。
ピコの方を先に飼っていたので,ピコは年上女房だった。
ピコは雛から育てたので人懐っこく,オンタは成鳥として飼ったので人の手には絶対に止まらなかった。
そんな訳でオンタは家族からもオイラからもあまり可愛がられなかった。
いや,殆ど可愛がられなかった。
可愛がられなかった理由はもう一つあった。
オンタは意地悪だったである。
オンタはよくピコを苛めていた。
嘴でピコを突っつくのである。
可愛そうなピコはいつも頭髪を薄くしていた。
女性だから尚更哀れである。
まるで,尼さんの様だった。
ピコは,別にどこかの宗教団体に属してるわけではなかったが。
オイラは,オンタがピコを突っつく度に籠の中に手を入れ,オンタを追い掛け回し,捕まえては叱っていた。
でも,オンタは自分を省みることなく,ピコを突っついていた。
正真正銘の鳥頭だから仕方が無いと言えば仕方が無いだろう。
でもやはり,毛の薄くなったピコの頭部を見る度に,ピコが哀れで仕方なかった。
そんな番であったが,やはり,夫婦としてやることはやっていた。
まあ,例えるなら,DV(ドメスティック・バイオレンス)の夫婦と言ったところだろうか。
自分が気に入らないときは,暴力を振るうが,夜になるとちゃっかりやっているヒモの様な男がオンタなのだろう。
そんな対照的であったピコとオンタだが,両方とも共通することがあった。
もしかしたら文鳥全部に通じるのかもしれないが。
それは,水浴びである。
毎朝,オイラは鳥の世話をしていた。
餌を取替え,籠の床の掃除をし,水を取り替えていた。
水を取り替えるとすぐに二人とも水浴びをしていた。
しかし,ここにも男尊女卑があった。
先に水浴びをするのは,必ずオンタだったのである。
本当にピコは年上女房として,DVされるにもにも水浴びをするにも食事をする時でも,耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでいた。
そんなピコもオイラが小学校高学年の時,死んでしまった。
安らかな眠りに就いたような死だった。
そして,1年も経たないうちにオンタも後を追うようにして死んでいった。
虹の橋の袂では,今もオンタが先に水浴びをして,ピコはじっと待っていると思う。
木曜日, 3月 08, 2007
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