『社長 vol.40』
以前にも書いたことがあるが,オイラのゼミには同輩のOという可愛い子(勿論女)がいた。
芸能界で言えば・・・
オイラの知り合いの独身,40歳のSさんに似ている(断言&イミフ)。
芸能界で言えば誰だろう・・・
う~ん・・・
思い当たらない。
まあ,しかし,美人は美人であった。
彼女は,芸能界が大好きっ子であった。
特に松田聖子が好きであった。
自分自身も芸能界に,入りたくて入りたくて堪らず,何度もオーディションを受けていた。
勿論,合格するはずもない。
合格していたら,大学を卒業できるわけがない。
性格も悪くは無かった。
天然ボケのところもあったが,巷でよく言われる「美しい花には棘がある」と言う格言には抵触していなかった。
ところが,ある時を境目に,彼女は男子学生からガイマ(はじき出されること。北海道弁か?)にされていた時期があった。
恥ずかしい話だが,オイラも少しシカトしていた。
その理由は,1年上の先輩と付き合うようになったからだ。
殆どの男子学生が,「自分が(付き合って貰おう)」と狙っていたわけだから。
男の嫉妬は見苦しい。
実に見苦しい。
丁度,松田聖子の「赤いスイートピー」が流行った後のことである。
彼女は,歯痛の為,大学を数日間休んだ。
以前はちやほやしていた男子学生だが,そんなことを気にする奴はいなかった。
しかし,一人だけ例外がいた。
社長である。
彼はある夜,花束を持って見舞いに行った。
その花は勿論,赤いスイートピーである。
いつもの社長スマイル(口を「ニー」としながら何度も頷く)で,
「Oさん,これがスイートピーですよ。今まで見たことなかったでしょ」
と言いながら手渡したそうである。
オイラ達は,その話が信じられなかった。
だって,もう唾の付いた商品だ。
今さら,見舞いに行ったってしょうがない。
無駄である。
もう,オイラ達には価値のない商品である。
しかし,社長は一味違っていた。
オイラ達は,社長を褒め称えるべきなのか,笑ったほうがいいのか。
これに関しての討論は,1週間以上に及んだ。