『たもちゃん vol.12』
1年ぶりにたもちゃんと会った。
一言で言うとたもちゃんの病状は大分悪化していた。
先ず、座っているときの姿勢がひどくなった。
腰が60°位前に傾いている。
手の震えはバイブレータの様だ。
頭頂部は・・・うん。あまり変わりない。
しかし、話をするとどうもおかしい。変だ。
辻褄が合わない・・・
「この頃、お酒はあまり飲まないんですか」
「そうだな、15年前から飲んでいない」
15年前というと、オイラ達が結婚した頃だ。
この頃は毎晩、酒盛りだった。
「そんなことないでしょ。優花が生まれた頃だったから、よく飲んでいましたよ」
「いや、わしは20年前から飲んでおらん」
へ? 20年前? ついさっきは15年前と・・・
兎に角、万事がこうだ。
頭の外側はともかく、中身の方は大分老人力が進んだようだ。
年をとるということは子供に近づくことだ。
今回、本当に実感した。
教えてあげないと鼻がかめないのだ。
鼻水がずるずると出てくる。
すると、たもちゃんは鼻をかもうとする。時々。
たもちゃんは、ティッシュを握ると鼻水を拭うだけなのだ。
さきちゃんや嫁やさな(長女)に
「ちゃんと鼻に力を入れてふんと出しなさい」
と言われないと鼻がかめない。
まるで3歳児だ。
しかし、容姿は可愛くない。
たもちゃんが昼寝から覚めたときだ。
「おい。リリー起こしてくれ」
傍にいたリリーに頼んでいた。
起こしに行ったら、たもちゃんの目は真面目だった。
ああ、もうここまで来てしまったか・・・
たもちゃんも恍惚の人に近づきつつあるのを感じた。
でも、オイラが
「お父さん、パチンコでも行きましょうか」
と言ったときの、たもちゃんの嬉しそうな顔を一生忘れないだろう。
木曜日, 10月 02, 2008
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