『オラの家族 Vol.14 ピコ2』
前にも言ったが,ピコ2(『ピコピコ』ではなく『ピコツー』と呼ぶ)は桜文鳥だ。
雛の頃から世話をした甲斐があって,人によく懐いた。
彼女は頭が良く,自分で籠の戸を開いて外に出ることがあった。
籠の戸は,下から上に持ち上げて開くシステムになっていたから,鳥が持ち上げるにはかなりのエネルギーを要したと思う。
彼女は一人ぼっちで,籠に入れられ寂しかったのだと思う。
籠から出してやると,人の周りをよく飛んでいた。
肩にも止まり,円らな瞳でこちらを見ていた。
その当時,オイラ一家はあるビル(と言うには大袈裟か)の管理人室に住んでいた。
親父の職場の建物であった。
ピコ2の籠は,玄関の入り口に置かれていた。
ある日,籠の中に彼女の姿は無かった。
オイラが学校から帰って来た時,彼女は突如としていなくなってしまっていた。
家の中を隅々まで探し回った。
しかし,どこにも彼女の姿は無かった。
彼女自身か或いは誰かが彼女を籠から出したのだと思う。
不特定ではないものの,多数の人が出入りする場所だったのだから。
数日間,中には誰もいない籠が玄関に置かれた。
彼女の思い出は,あまりに少なかった。
どこかで彼女は飛び回っているだろう。
虹の橋で飛び回っている彼女の姿を見かけたら可愛がってあげて欲しい。
水曜日, 2月 14, 2007
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