土曜日, 4月 11, 2009

ホールで見かけた楽しい仲間 Vol. 4

   ホールで見かけた楽しい仲間 Vol. 4

 それは、スロがまだ4号機の時代であった。そう、「♂ばんちょ」が撤去された後の頃である。
 全国に展開しているD店での出来事だった。
 その頃、オイラは「俺の空」に現を抜かしていた。
 いつものようにいい台が無いか探していた。
 「いい台」とは「嵌っている台」である。
 天井になるべく近い台である。
 そう、オイラはハイエナ。

 そして、「俺の空」の背中の島には、「夢夢DX」が配置されていた。
 そこに、一人だけ客が付いていた。
 居たのは、年の頃は30半ば位であろうか。
 小太りの男が「夢夢DX」を打っていた。
 そう、とてもニコニコしながら。
 もう、半端じゃなく満面の笑みである。
 
 (相当出ているんだろうな。いいなあ)と思いながら近づいていくと、頭上の箱にはコインは入っていない。
 (???)
 下皿にもコインは無い。
 よくよく見ていると、せっせせっせとサンドに英世を突っ込んでいる。
 ニコニコしながら。
 満面の笑みで。
 (ああ、久し振りのスロで嬉しいんだろうな)と思っていたら、思い出した。
 昨日も居た。
 一昨日も居た。
 その前の日曜にも居た。
 ニコニコ小太りおじさんは、久し振りのスロではないのである。
 それなのに、ニコニコと嬉しそうにサンドに突っ込んでいるのである。
 (昨日の様子はどうだった?」
 (一昨日の様子はどうだった?)
 あまり働かせた事の無い頭脳を思いっきり絞って、思い出そうと努めた。
 駄目だ。
 思い出せん。
 印象が薄い。
 記憶はあまり無いが、ニコニコとして打ってはいなかったはずだ。
 印象が薄いということは、大して出ていなかったと容易に察することができる。

 オイラもそれなりの台を掴んで、打ち始めた。
 背中からは、夢夢ちゃんの声が時折聞こえてくる。
 時々、後ろを振り返って小太りニコニコおじさんを見るオイラ。
 相変わらずニコニコとしながら打っている。
 和やかと言えば和やかなのだが、打っている機種が機種である。
 「オタク」と思われても仕方が無いであろう。
 通りで夢夢には人が付いていない訳だ。

 嵌ってしまって憮然としながら打っているオイラ。
 嵌ってもニコニコと打っている小太りおじさん。
 (「笑う門には福来る」というし。今に大爆発かもしれないな)等と考えていると、いつの間にかニコニコ小太りおじさんはいなくなっていた。
 「笑う門にも福は来な」かったようである。
 その後、パタッと小太りおじさんを見かける事は無くなった。
 ちょっとホールが寂しくなった。

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