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ボクは、木のねもとでかんがえた。
どうして、ここにいるのかな?
パパやママはどこなんだろう?
どうしてだれもいないんだろう?
そんなことをかんがえてるとうしろから声が聞こえた。
「剛君」
ふりかえるとマヒロおねえちゃんがいた。
「マヒロおねえちゃん。いつ、ここに来たの?」
「知らないの。気付いたら剛君の後ろにいたの」
なんだかふしぎだ。
ボクはしらないうちにここにいた。
マヒロおねえちゃんもそうだ。
いったいなんだろう。
わからないから、かんがえないことにした。
「ねえ、マヒロおねえちゃん、おなかがすいた?」
「うん、少し」
「ほら、ここにクルミがたくさんあるよ。マヒロおねえちゃんも食べない?」
「あ、本当だ。沢山あるね」
「ボクが、からをわってあげるよ」
ボクは石でクルミをわる。
そして、マヒロおねえちゃんにあげた。
マヒロおねえちゃんは、おいしそうに食べている。
ボクはマヒロおねえちゃんに会えてうれしかった。
だから、たくさんクルミをわった。
ボクも少し食べた。
「ねえ、剛君。何か覚えていることはない?」
ボクはなんて言ったらいいのかわからなかった。
だから、だまってしまった。
マヒロおねえちゃんはボクをじっと見つめている。
「剛君は本当に前の事、覚えていないの?」
ボクはこまってしまった。
だって、おぼえていないんだもの。
マヒロおねえちゃんはボクの目のおくをじっと見つめてこう言った。
「剛君はね、死んだの」
マヒロおねえちゃんは、かなしそうなこえで言った。
「ボク、しんだの?」
「そう、死んでしまったの。だからここにいいるの」
「じゃあ、ここは天国?」
「違うと思うわ。天国ならもっと沢山のヒトがいるはずだもの」
「じゃあ、ここはどこ?」
「私もわからない。でも想像はしているの」
「どんな?」
「ここはきっと変死してしまった人が天国や地獄に行く前の場所だと思うの」
「ヘンシってなに?」
「あのね、剛君の場合は殺されたの」
「だれに?」
マヒロおねえちゃんは、こまったようなかおをした。
マヒロおねえちゃんは、だまっている。
「ねえ、おしえて。ボクはだれにころされたの?」
マヒロおねえちゃんは、小さな声で言った。
「剛君のパパに」
ボクは、マヒロおねえちゃんがなにを言ってるのか、さっぱりわからない。
「もう一ど言って」
マヒロおねえちゃんは、ひとことずつくぎるように言った。
「剛君は、剛君の、お父さんに、頭を、灰皿で、殴られて、殺されたの」
こんどははっきりとわかった。
ボクは殺された。
ボクはパパにころされた。
ボクはなぐられてころされた。
どうして?
どうして?
ボクはあたまがいたくなった。
すごくいたくなった。
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