水曜日, 11月 22, 2006

オラの家族 9

 『オラの家族 Vol.9 ポピー』

 オイラが小学校の1年生か2年生の頃だったと思う。
 その頃も,犬を飼っていた。
 名前はポピーである。
 どのような経緯でその犬を飼うようになったのかは覚えていない。
 真っ白で,スピッツのようなふわふわの毛をした犬だった。

 可愛がってはいたのだけれども,あまり,ポピーとの思い出は無い。
 唯一つ,強く記憶に残っていることがある。
 
 ある日,ポピーは小屋の中で蹲っていた。オイラ達がいくら呼んでも決して出て来ようとはしなかった。
 オイラ達は小屋に近づいた。
 すると,普段はおとなしいポピーが,唸り声を上げた。
 オイラ達は吃驚して,すぐに小屋から離れた。
 遠くから小屋の中を覗くオイラ達。
 ようやく少し見えた。
 小屋の中には,鼠のような生き物がいる。
 それも数匹。

 最初,オイラ達はポピーが鼠に襲われているのかと思った。
 ポピーを早く助けなきゃ。
 そう思い,もう一度小屋にオイラは近づいた。
 またしても,ポピーは唸る。
 その時,オイラの目にはっきりと見えた。
 中にいるのは鼠じゃない。
 犬の赤ちゃんだ。

 この時になって初めてオイラ達は,ポピーが雌犬だったことを知った。
 なんとも情けない飼い主である。
 ポピーの子供達はどうなったか覚えていない。
 きっと,親父が処分したんだろうと思う。

 しかし,あの時のポピーの我が子を守ろうとする母の強さを感服せずにはいられない。
 ポピーが天国で自分の子供達と一緒に幸せに暮らしていることを願う。

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