『オラの家族 Vol.8 チロ』
オイラが保育所に通っていた頃,チロという犬を飼っていた。
とても小さな犬だった。
抱かれても抱かれるに任せるおとなしい犬だった。
近所に人たちにも可愛がられていた。
チロの思い出は,2つある。
1つは懐かしく,1つは悲しい。
1つ目は,冬のことである。
オイラは兄と近所の子と3人で遊んでいた。
雪合戦やら橇滑りで遊んでいた。
チロは,オイラ達と一緒に跳ね回っていた。
そして,写真を撮ってもらった。
とても幸福な一時だった。
この時のチロが一番幸せだったと思う。
2つ目は,稲刈りの季節だったと思う。
母が,知り合いの家に稲刈りの手伝いに行っていた。
そして,オイラとチロも一緒に行った。
その日のチロは様子がおかしかった。
やたらと物を齧っていた。
他の人の家なのに,たんすやら椅子やら何でも手当たり次第に齧っていた。
そして,そのうち,人も齧るようになった。
しかし,オイラと母の手は,流石に齧れなかったのだろう。
押し付けるように舐めていた。
齧りたくて齧りたくて堪らないのを我慢していたのだろう。
そのうち,辺りを走り出した。
それも尋常な走り方ではなかった。
狂ったように走っていた。
オイラ達はチロをおとなしくさせようとした。
しかし,いくらオイラ達が呼んでも,近づかなかった。
唸り声を発しながら走り回っていた。
やがて,チロは山の中へと走り去って行った。
今にして思えば,あの時のチロは狂犬病に罹っていたのではないかと思う。
きっとチロは,狂犬病をうつさないように人のいないところへといったのだろう
それから,二度とチロの姿を見ることは無かった。
あの山のどこかで安らかに眠っていることを願っている。
そして,虹の橋を一緒に渡りたい。
1 件のコメント:
この文は,駄文だな。
ブログに載せるのに値しない。
5点(100点満点中)
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