『社長 vol.10』
これは,大学2年目の冬に起こったことである。
もちろん,主役は社長であることは言うまでもない。
ゼミでのコンパのことだった。
社長はバイトである塾に行っていたため,コンパに遅れてきた。
その時の登場がすばらしかった。
なんと,アンパンマンのような顔から,ぶくぶくと太った体中にトイレットペーパーを巻いて,姿を現した。
「恐怖のミイラ男~!!!」と叫びながら。
会場は,爆笑するものとあまりのギャグセンスのなさに,無視する者に二分された。
我々,『社長unko事件』を知っている者は,爆笑しながらも「今日は,自分でトイレットペーパーを用意したから大丈夫」と胸をなでおろした。
社長は,爆笑した後輩のそばに近寄り,
「いやあ~,今日は可愛い○○ちゃん(塾の教え子)が休みだったんだよね~。あの子が来ないと授業,面白くないんだよね~」
と言い,勝手に誰が飲んだかわからないグラスに,焼酎をごぼごぼと入れ,ごくごくと飲み始めた。
そう,彼は清潔と言う言葉を知らないのである。
知っていても,敢えて,無視しているのである。
大体,普通の感覚の持ち主であれば,トイレットペーパーを体に巻くわけはない。
誰が飲んだか分からないグラスで平気に飲めるわけはないのである。
このようにずぼらな性格が愛嬌でもあり,周りへ迷惑を起こした。
もちろん私は,迷惑をこうむった方である。
家に(私は実家から大学に通っていた)来た時も,案の定私の母親は嫌な顔をした。母は大の潔癖だったためである。
どんなに嫌な顔をされてもそれでも,私の家にはよく遊びに来た。
ほんとに面の皮が厚いやつである。
ついでにてぃんぽの皮も厚かった。
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