『社長 vol.28』
社長と我々は飲みに行った時必ずすることがあった。
それはナンパである。
おそらくあなたはこう思うに違いない。
「なんで社長が一緒なのか?」
社長と一緒だとナンパ成功率が下がるのではないかと思うあなたは,間違っている。
社長がいてもOKであるということは,もうこちらにぞっこんであるということになる。
その日も予定通りナンパをしていた。
この日の場所は,パブではなく買い物公園だった。
因みに買い物公園とは恒久的に歩行者天国なった旭川の全国初の通りである。
まずはジャンケンである。
誰が声を掛けるかのジャンケンである。
結果は・・・
一番気の弱いN2になった。
早速,4,5人のお嬢様のグループを探す。
・・・いない・・・
全然いない・・・
30分ほど買い物公園を物色しながら歩く。
時は21:00。
暗くて顔など良く見えない。
それでもOKなのである。
そこまで我々5人は落ちぶれていた。
いた。
4人グループがいた。
早速N2が声を掛ける。
「あの~,煙草の火貸してもらえますか?」
これを皮切りに口説く。
近くでことの推移を見守る我々。
玉砕だった。
しかし,我々はあきらめなかった。
今度のジャンケンでは社長が声掛け役になった。
そして,30分後,ようやくターゲット発見。
「あの~,ちょっといい?」
社長が声を掛ける。
返ってきた言葉が我々の野望を打ち砕いた。
「あ~っ,さっきの人!」
そう,我々は同じグループをナンパしたのだった。
しかも誰であれ顔を覚えられやすい社長を同行して・・・
心を粉々に砕かれた我々は,男衆5人で,場末の居酒屋で酒を浴びるほど飲んだ。
何もかも忘れたかった。
そして,社長はあいも変わらず飲んでる最中にunkoをしたのはいつもの通りである。
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