『社長 vol.17』
DQNな学校に勤務する社長。
それでも。それなりに楽しくやっていたみたいである。
そこでは,『社長』とは呼ばれていなかった。
そうである。新しい渾名が付いたのである。
それは6月下旬の頃のことである。
社長は修学旅行の引率に着いていった。
修学旅行の行き先は札幌方面だった。
R町は道東に位置するため,修学旅行先は毎年札幌だった。
もちろん社長は喜んで引率した。
大好きなススキノに近づくことができるのであるから,進んで引率になった。
普通は嫌がる。
やはり社長である。
修学旅行一行は無事見学を終え,ホテルに到着した。
社長はススキノでの巡回補導に向けて,臨戦態勢を整えるべく風呂に入ることにした。
しかし,問題が一つあった。
ススキノ巡回の時間に間に合わせるには,生徒と一緒に風呂に入るしか,入浴時間が無い。
彼は逡巡した。
しかし,どう考えても身体的欠陥を生徒から隠すよりも欲望が優先であった。
生徒と風呂に入るも止む無し。
社長は不本意ながらも風呂に入る決意をした。
脱衣所で,社長は何気なくタオルを腰に巻いた。
自然な流れである。
しかし,社長の周りにはいたずら好きで人の弱みを見つけるのが大好きな厨房がうようよいる。
当然の如く社長のタオルは毟り取られた。
毟り取られたタオルに隠れていたのは,社長の愛らしい方形である。
厨房は一斉に囃し立てた。
「○○は,方形だ~!」
ススキノに行きたいがために厨房から『方形』呼ばわりされてしまった。
そして,中の一人がこう叫んだ。
「形がシューマイだ~!!!」
そう,社長はこの日から渾名が「シューマイ」になった。
そして,絶望に打ちひしがれた社長はその日は,ススキノに行かなかった。
今でも,R町では,「シューマイ」と言えば,社長のことを表しているらしい。
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