『社長 vol.26』
2回目にストリップ劇場に行った時も,社長は勿論一緒だった。
言わずもがなである。
今回は少々金がかかってもいいから,じっくりと見ようということになった。
今回のショーはフィリピーナが中心であった。
ショーは可もなく不可もなく淡々と過ぎていった。
そして,遂に好機が訪れた。
「え~お客様に申し上げます。今日は特別ご奉仕にて500円,500円で踊り子さんとスペシャルタイムを用意させていただきます」
要するに500円でフィリピーナとやれるのである。
客は一斉にスペシャルルームの前に並んだ。
スペシャルルームといっても,ステージの一角に蚊帳のように布切れ一枚で仕切られているだけである。
しかし,気づくと我々は他の客と同様に並んでいた。
いよいよ我々の番がやってきた。
500円というだけあって,サービスも何もあったもんじゃない。
四角い布切れだけの部屋には,先ほど踊っていたフィリピーナが横たわっているだけ。
そして,混同ー無を装着し,一気に昇天するだけである。
それでも若かった我々は満足なのである。
そして,いよいよ社長の番である。
社長もいそいそとスペシャルルームの中へ入る。
そして・・・
社長がなかなか出てこない。
一人当たりの平均時間は5分といったところだろうか。
5分経過した。
それなのに社長はスペシャルルームから出てこない。
後に並んだ客から罵声が飛び交う。
「何やってんだよ! 早くしろよ!!」
何をしているかは明白なのだが・・・
遂に劇場側も痺れを切らした。
スポットライトがパッシングする。
それでも社長は出てこない。
我々は身の危険を感じた。
「このままじゃ,暴徒と化した客に何をされるか分からない・・・」
いらいらしたように,スポットライトがパッシングする。
Nがとうとう言った。
「S,自分で擦れ!」
それから2分後,ようやく社長は出てきた。
「こんなところで,自分でいくなんて・・・私は恥ずかしいですよ・・・」
出てきた社長の第一声がこれであった。
社長は方形にも関わらず,優れた持久力の持ち主でもあったのだ。
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