土曜日, 11月 18, 2006

社長 26

 『社長 vol.26』

 2回目にストリップ劇場に行った時も,社長は勿論一緒だった。
 言わずもがなである。
 今回は少々金がかかってもいいから,じっくりと見ようということになった。
 
 今回のショーはフィリピーナが中心であった。
 ショーは可もなく不可もなく淡々と過ぎていった。
 そして,遂に好機が訪れた。
 「え~お客様に申し上げます。今日は特別ご奉仕にて500円,500円で踊り子さんとスペシャルタイムを用意させていただきます」

 要するに500円でフィリピーナとやれるのである。
 客は一斉にスペシャルルームの前に並んだ。
 スペシャルルームといっても,ステージの一角に蚊帳のように布切れ一枚で仕切られているだけである。
 しかし,気づくと我々は他の客と同様に並んでいた。
 いよいよ我々の番がやってきた。
 500円というだけあって,サービスも何もあったもんじゃない。
 四角い布切れだけの部屋には,先ほど踊っていたフィリピーナが横たわっているだけ。
 そして,混同ー無を装着し,一気に昇天するだけである。
 それでも若かった我々は満足なのである。

 そして,いよいよ社長の番である。
 社長もいそいそとスペシャルルームの中へ入る。
 そして・・・
 社長がなかなか出てこない。
 一人当たりの平均時間は5分といったところだろうか。
 5分経過した。
 それなのに社長はスペシャルルームから出てこない。
 後に並んだ客から罵声が飛び交う。
 「何やってんだよ! 早くしろよ!!」
 何をしているかは明白なのだが・・・

 遂に劇場側も痺れを切らした。
 スポットライトがパッシングする。
 それでも社長は出てこない。
 我々は身の危険を感じた。
 「このままじゃ,暴徒と化した客に何をされるか分からない・・・」
 いらいらしたように,スポットライトがパッシングする。
 Nがとうとう言った。
 「S,自分で擦れ!」
 
 それから2分後,ようやく社長は出てきた。
 「こんなところで,自分でいくなんて・・・私は恥ずかしいですよ・・・」
 出てきた社長の第一声がこれであった。
 社長は方形にも関わらず,優れた持久力の持ち主でもあったのだ。

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