『社長 vol.18』
教師になった社長は輪をかけて酒癖が悪くなった。
DQNな親を相手に飲むのだから,社長一人の責任ではないだろうが。
それは10月の頃であった。
学校で観楓会が行われたときだった。
その日も社長は積極的に『カポ』をやったらしい。
他の先生からのアンコールに応えて,際限なく『カポ』を行ったらしい。
その結果,予想通り社長は泥酔したらしい。
社長は泥酔した体で無理やり車に乗り込んだらしい。
そう,彼は飲酒運転をしたらしい。
社長もとうとう刑事的問題を起こすようになった。
ただでさえ,社長は運転が上手くない。
よくこれで免許を取ることができたと周りの誰もが思うくらい,運転が下手糞だった。
そんな腕前の持ち主が泥酔状態で運転したら・・・
そう,あなたの予想は当たっている。
彼の車は予想通り路肩からはみ出し,溝に落ちたらしい。
その溝がすごかったらしい。
路面からの落差が約2mあったらしい。
溝と言うより崖に近いらしい。
それにも拘らず,悲惨な事故にはならなかったらしい。
車もそれほど破損せず,社長の体も無事だったらしい。
普通,2mもの落差のある場所から落ちたのなら,意識は覚醒するはずである。
アドレナリンの分泌も多大に行われるはずである。
やはり,社長は社長であった。
車が落ちても寝たままだったらしい。
朝になり,社長の車が落下していたのを発見した同僚に揺り起こされるまで,社長は寝ていたらしい。
社長は持ち前の強運を発揮し,飲酒運転でK察に検挙されることもなく,怪我をすることもなく,車を破損させることもなく乗り切ったのである。
我々の間では,彼の地位は神の領域まで達した。
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